腕用浮き輪は、胴体を通すドーナツ型の浮き輪に比べて「すり抜け落ち」が起きにくく、子どもの自由な動きを妨げないため、スイミングスクールでもアームヘルパーとして広く採用されています。しかし、消費者庁や日本ライフセービング協会の報告を紐解くと、腕用浮き輪着用中の溺水事故やヒヤリハット事案が後を絶ちません。
最も警戒すべきは、水中でバランスを崩した際に起きる「前転・後転による顔面の水没」です。腕浮き輪は腕だけに浮力があるため、幼児が水中で前傾姿勢をとると、頭の重さに引っ張られて上半身が水中に沈み、足が上がった状態(逆立ち状態)でロックされてしまうケースがあります。幼児の筋力では自力で起き上がることができず、大人が目の前にいても静かに溺れてしまうのです。
さらに、遊んでいる最中に汗や日焼け止めで滑りやすくなり、スポンと腕から抜け落ちてしまうトラブルや、岩場・プールの縁に擦れて穴が開き、急激に浮力を失うパンク事故も報告されています。「浮き具をつけているから安心」という油断こそが、最大の危険因子と言えます。