優雅で洗練された印象を与えるためには、器を持ち上げてから口に運び、再びテーブルに戻す一連のフローが淀みなく行われなければなりません。茶道や懐石料理に由来する茶碗の持ち上げ方の手順を押さえておくと、動作全体に滑らかなリズムが生まれます。
右手で器の上部を軽く持ち、そのまま垂直に持ち上げて左手の平の上に一度預けます。次に、左手の親指を縁に掛け、残る4本の指を高台の底に滑り込ませて下からしっかりと受け止めます。最後に右手を静かに離し、箸を取り上げるという「三段の所作」を踏むのが、お茶碗の正しい持ち方における最高峰のエチケットです。器を置く際もこの逆の手順を辿り、決してテーブルに「コトッ」と音を立てて置いてはなりません。
ここで多くの人が混同するのが、汁椀とお茶碗の持ち方の違いです。漆器や木製であることが多い汁椀は、陶器の飯碗に比べて熱伝導率が極めて低く、持った瞬間に熱さを感じにくい構造になっています。しかし、汁椀には熱い液体が入っているため、バランスを崩した際の危険度は飯碗より格段に高くなります。
汁椀を扱う際は、親指を器の縁に掛けつつ、底面の高台を人差し指と中指で挟み込むように安定させたり、親指以外の4本指の背で高台の側面を支えたりと、より重心のブレを防ぐ工夫が求められます。また、漆器は非常に滑りやすいため、陶器のように指先だけで軽く挟むのではなく、指の面を使って密着度を高めるのが理に適った扱い方となります。