中日新聞のクロスワードパズルを語る上で絶対に外せない存在、それが日本を代表するパズル作家・西尾徹也氏です。新聞・出版業界やパズルメディア業界において草分け的プレゼンスを誇る同氏の作風は、エレガントでありながら緻密な二重構造のトラップが仕掛けられているのが最大の特徴と言えます。
西尾氏の出題傾向を徹底分析すると、いくつかの明確なパターンが見えてきます。第一に「言葉のダブル・エントリー(多義性)」です。たとえば「カギ」という言葉一つにとっても、ドアの鍵なのか、謎を解く手がかりなのか、あるいは鍵盤なのか。文脈によって意図を滑らかにすり替える技法は、まさに職人芸の領域。直感だけでマス目を埋めようとすると、この仕掛けに見事にはまってしまいます。出題者の意図を裏読みし、言葉の奥にある情景を思い浮かべることが攻略への近道です。