血圧を巡る情報環境において、もっとも多くの誤解を生んでいるのが「病院での測定値」への盲信だ。健康診断で「150」と判定されて慌てふためく人がいる一方で、「健診ではいつも125だから自分は無敵だ」と過信し、突然の脳梗塞で救急搬送されるケースが後を絶たない。
この乖離を生み出す元凶が、早朝高血圧と白衣高血圧の真相である。
白衣高血圧とは、医療機関の診察室や70代健康診断血圧判定基準の現場で、緊張から一時的に交感神経が優位になり、血圧が跳ね上がる現象を指す。自宅では125/75前後で極めて安定しているにもかかわらず、白衣の医師の前に座っただけで150/90を記録してしまう。この数値を真に受けた医師が安易に強い降圧剤を処方し、自宅で重度の低血圧を引き起こす医療過誤まがいのトラブルが今も現場で多発している。
反対に、医療従事者が最も恐れているのが「仮面高血圧」、その大半を占める「早朝高血圧」だ。日中の診察室では極めて正常な数値を示しているが、起床後1〜2時間の血圧が150〜160超へ急騰するタイプである。午前6時から8時は交感神経の切り替わりとモーニングサージが重なり、血液凝固能も高まるため、脳卒中や心筋梗塞の魔の時間帯と呼ばれる。
これらを見破る唯一の防壁が、高齢者家庭血圧測定基準の徹底順守である。診察室の1回限りの測定値は信用に足らない。以下の「家庭血圧測定の黄金律」を日常のルーティンに組み込むことが不可欠だ。
- 朝の測定条件:起床後1時間以内、排尿を済ませ、朝の薬を飲む前、朝食を摂る前、座った姿勢で1〜2分安静にしてから測定する。
- 夜の測定条件:就寝直前、入浴や飲酒から1時間以上経過した安静状態で測定する。
- 測定の鉄則:上腕式(二の腕カフ型)測定器を使用し、カフの高さは心臓と同じ水平に保つ。2回連続で測定し、その平均値を記録する。