ネット上で「子犬を無料で差し上げます」と呼びかける募集主には、大きく分けて3つの背景が存在します。単なる「善意の余剰」だけでは片付けられない構造的な要因を把握しておく必要があります。
1つ目の理由は、飼い主の避妊・去勢手術の不徹底による予期せぬ多頭繁殖です。熊本県内の郊外や農村部では、屋外飼育の雑種犬が意図せず妊娠し、一度に5頭から8頭もの子犬が生まれてしまう事態がいまも散見されます。飼い主側には「保健所に持ち込むと殺処分されてしまうかもしれない」「自力では飼い切れない」という強い焦燥感があり、一刻も早く手放したいがために「無料」を掲げて引き取り手を急募するのです。
2つ目の理由は、動物愛護管理法の規制を逃れようとする悪質ブリーダーの在庫処分・遺棄ロンダリングです。繁殖引退犬や外見上の基準を満たさない子犬を抱えた無許可業者が、一般飼い主を装ってジモティーなどの無料掲示板に投稿します。「生体代は0円」と謳いながら、引き渡し時に「これまでにかかった医療費」と称して不透明な諸費用を請求する手口が横行しています。
3つ目の理由は、引き取り手側の警戒心を解くための心理的トラップです。「無料」という強いフックで人を集め、譲渡の契約段階になって初めて「指定のペット保険への強制加入」や「提携フードの定期購入契約」を義務付けるビジネスモデルが存在します。結果としてペットショップ以上の出費を強いられるトラブルが報告されています。