『NANA』という作品の構造において極めて重要なのが、本編の合間にモノローグ形式で挿入される「本編から数年後が舞台の未来編」です。この未来の描写によって、レンの死後にナナが失踪を選んだ事実が浮かび上がっています。
未来編において、ナナは日本から突如として姿を消し、海外で身を潜めて暮らしていました。私立探偵や雑誌記者の調査によって判明した彼女の居場所は、イギリス・ロンドンの寂れたパブ。トレードマークだったショートヘアをブロンドのロングヘアに変え、名前を隠しながら一人で歌い続けている姿が写真に収められています。
なぜナナは仲間たちとの繋がりを一切断ち切り、海を渡らなければならなかったのか。レンを喪失したトラウマから逃れるためなのか、それとも歌うことへの罪悪感と渇望の狭間で選んだ自己隔離なのか。東京の707号室で彼女の帰りを信じて待ち続けるハチたちのもとへ、ナナの生存を証明する手がかりが届く場面は、未完の物語における最大の希望であり謎となっています。