日本初の国立美術館として1952年に開館した東京国立近代美術館(MOMAT)は、横山大観、菱田春草、岸田劉生、萬鉄五郎といった近代美術の巨匠たちのマスターピースを一堂に会した日本美術の最高峰です。企画展では時代を切り拓いた先駆的なアーティストの回顧展や、現代社会の課題を鋭く照射する国際的な現代アート展が意欲的なスケジュールで展開されています。
企画展はもちろんのこと、MOMATの真骨頂は4階から2階へと順路をたどる所蔵作品展(MOMATコレクション)にあります。各部屋ごとに明確なキュレーションテーマが設定されており、日本の開国から戦前・戦後のアバンギャルド、高度経済成長期を経て現代へと至る視覚文化の変遷を立体的に体感できます。教科書で一度は目にしたことのある重要文化財クラスの作品が惜しげもなく並ぶ展示室は、美術愛好家のみならず初めて訪れる鑑賞者をも唸らせる迫力です。
さらに見逃せないのが、本館4階に設けられた展望休憩スペース「眺めのよい部屋」です。大きなガラス窓からは、皇居東御苑の豊かな木々や丸の内のビル群が一望でき、名作鑑賞の合間に贅沢な静寂を味わえます。四季折々に表情を変える借景は、美術館建築そのものの魅力と相まって鑑賞体験の満足度を一段引き上げてくれます。