毛を剃ると濃くなる噂は嘘?皮膚科医が明かす錯覚の正体と正しいケア

毛を剃ると濃くなる噂は嘘?皮膚科医が明かす錯覚の正体と正しいケア

毛を剃ると濃くなる噂は嘘?皮膚科医が明かす錯覚の正体と正しいケアについて徹底解説いたします。最新の情報をチェックしてください。

皮膚科の臨床現場において、専門医が一貫して述べる見解は「シェービングによって毛質が太くなったり、毛根の数が増加したりすることはあり得ない」という事実です。毛の成長をつかさどる「毛母細胞」や「毛乳頭」は皮膚の深部(皮下組織から真皮層)に位置しており、カミソリの刃が届く角質層の表面とは完全に隔絶されています。皮膚表面に出ている毛幹を物理的に切り落としても、皮膚深部にある発毛組織へ刺激が伝わり、毛を太く変化させるような生理学的伝達機構は存在しません。

この事実は、現代に始まった新しい発見ではありません。すでに半世紀以上前の1970年、皮膚科学の権威ある研究(Lynfield and MacWilliamsによる臨床実験)において、定期的に髭や体毛をシェービングし続けた部位と、放置した部位の毛の成長速度、太さ(粗さ)、乾燥重量、メラニン色素の沈着度合いを詳細に測定・比較する厳密な検証が行われました。その結果、剃毛を繰り返しても毛の太さや伸びるスピード、色調に何ら変化は生じないことが立証されています。さらに遡れば、1928年のミルドレッド・トロッター(Mildred Trotter)博士による研究でも同様の結論が導き出されており、科学の世界では100年近く前に決着がついている問題なのです。

人の体毛には「成長期・退行期・休止期」を繰り返す毛周期が存在し、毛根のメラニン色素の生成量や毛の太さは、主に遺伝的要素と男性ホルモン(テストステロンやジヒドロテストステロン)の分泌バランスによって厳密に制御されています。表面の毛を剃ることと、ホルモンレセプターが活性化することは全く別の生体現象であり、カミソリによる除毛が毛を濃くする直接の引き金になることは医学的にあり得ません。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。