ビジネスシーンだけでなく、医療の現場でも頻繁に紹介状が扱われます。医療機関で発行される紹介状の正式名称は「診療情報提供書」と呼ばれ、ビジネス書類とは全く異なる独自のルールが存在します。
医療における診療情報提供書の封筒の書き方は、基本的に発行元の医師がすべて記載して患者に手渡す形式が一般的です。患者自身が封筒に何かを書き加える必要はありません。ここで最も重要な鉄則は、「渡された封筒は絶対に自分で開封してはならない」ということです。診療情報提供書は医師から医師へ向けた守秘性の高い親展信書であり、開封すると無効扱いになったり、紹介先での円滑な診療連携に支障をきたしたりするリスクがあります。
医師が書いた病院の紹介状の封筒宛名にある「御机下(おんきか/ごきか)」や「侍史(じし/おんじし)」という言葉を見て、疑問に思った経験がある方も多いのではないでしょうか。これらは医療界や学術界で使われる極めて格式の高い「脇付け」と呼ばれる敬称表現です。
- 御机下(おんきか):「先生のお机の下に置かせていただくほど、へりくだった立場で差し上げます」という深い敬意を表す言葉。
- 侍史(じし):「直接先生にお渡しするのは恐れ多いため、秘書や従事者を通じてお渡しします」という謙譲の意を表す言葉。
これらは医師同士の高度な礼儀作法に基づく記載であり、患者が受け取った際はそのままの状態を保ち、転院先や紹介先の大病院の初診受付窓口へ速やかに提出するのが正しいマナーです。