膝の皿がずれる激痛と違和感の正体|脱臼の再発を防ぐ治療と応急処置

膝の皿がずれる激痛と違和感の正体|脱臼の再発を防ぐ治療と応急処置

膝の皿がずれる激痛と違和感の正体|脱臼の再発を防ぐ治療と応急処置の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。

膝関節の前面に位置するお皿(膝蓋骨)は、太ももの筋肉である大腿四頭筋の力を脛(すね)の骨へ効率よく伝える滑車のような役割を担っています。通常、膝蓋骨は大腿骨の正面にある「大腿骨滑車溝」と呼ばれる溝にぴったりとはまり、膝の曲げ伸ばしに伴って上下にスライドします。しかし、何らかの強い外力や生体力学的な不均衡が加わると、この溝を乗り越えて外側へ滑落してしまいます。これが膝の皿がずれる病態の基本構造です。

膝の皿が外れる感覚が生じるシチュエーションとして圧倒的に多いのが、ジャンプの着地、急激な方向転換、ターン動作などです。膝が内側に入り、つま先が外側を向く「ニーイン・トゥーアウト(Knee-in & Toe-out)」と呼ばれる姿勢を取った瞬間、大腿四頭筋が急激に強く収縮すると、お皿を外側へと引っ張るベクトルが跳ね上がります。その結果、内側でお皿を留めている「内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)」が限界を迎えて断裂・伸張し、激しい音とともに脱臼が生じます。

現場で多く寄せられる疑問が、「膝の皿が自然に戻るのはなぜか」という点です。完全に溝から外れ切った状態を「完全脱臼」、溝の縁に乗り上げたり一瞬外れて自力で元の位置に収まったりする状態を「亜脱臼」と呼びます。脱臼した直後、激痛のあまり反射的に膝をスーッと真っ直ぐ伸ばした際、緊張していた大腿四頭筋の牽引角度が変化し、滑車の溝へ滑り込むように自然整復されるケースが多々あります。ただし、見た目や位置が元に戻ったとしても、内側の靭帯組織や関節軟骨には重篤な損傷が残っているため、「戻ったから治った」と判断するのは極めて危険な錯覚です。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。