フジテレビおよびエイケンが公表している現行のアニメ公式プロファイルにおいて、磯野ワカメは7歳の小学1年生、カモメ第三小学校の1年3組に在籍しています。兄であるカツオの奔放な行動に呆れつつも、時に鋭いツッコミを入れ、母のフネを手伝うしっかり者として描写される場面が目立ちます。しかし、新聞連載としてスタートした長谷川町子美術館所蔵の一次資料を精査すると、発祥期におけるワカメの立ち位置は大きく異なっていました。
1946年に『夕刊フクニチ』で連載が始まった当初、ワカメの年齢設定は5歳前後でした。幼稚園や保育園に通う描写すらほとんどなく、文字通り「言葉を覚えたての無軌道な幼児」として登場していたのです。原作初期のエピソードでは、周囲の大人の真似をしてトンチンカンな行動を取ったり、カツオ以上に予測不能な悪戯を仕掛けたりするトラブルメーカーでした。当時の新聞漫画における児童描写は、リアルな生活感覚を投影したドタバタ劇が主流だったためです。
これが1969年のテレビアニメ放送開始に伴い、明確に7歳・小学1年生へと改編されました。制作関係者の証言資料によると、30分のアニメ番組として毎週3本のエピソードを成立させるにあたり、「学校コミュニティ」の存在が不可欠だったと記録されています。カツオが通う小学校にワカメも通学させることで、兄妹関係のコントラストを際立たせ、家庭内だけでなく学校行事や通学路でのドラマを展開しやすくする狙いがありました。この設定変更によって、原作のやんちゃな幼児から、真面目でナイーブな小学生へと性格付けもシフトしていったのです。