三木谷氏の経営者人生において最大の勝負手となった楽天モバイル事業は、2026年を迎えて大きな変革期を乗り越えました。参入初期に投じられた巨額の基地局整備費用はグループ全体のキャッシュフローを圧迫し、社債償還や資本調達を巡って市場から厳しい視線が注がれた時期もありました。しかし、基地局整備の一巡による設備投資(CAPEX)のピークアウトと、自前仮想化ネットワーク(Open RAN)技術のコスト効率化が功を奏し、劇的な損益改善を達成しています。
特に決定打となったのが、700MHz帯(プラチナバンド)の商用サービスの本格展開です。地下街や高層ビル内での電波の届きにくさという最大の弱点が解消されたことで、法人契約(BtoB)および一般ユーザーの解約率(チャーンレート)が大幅に低下しました。回線契約数は順調に積み上がり、単月黒字化の達成を経て、グループ連結での収益貢献フェーズへと移行しています。
三木谷氏が一貫して主張してきた「モバイル事業は楽天エコシステムの最強の入り口である」という構想は、データ上でも証明されつつあります。楽天モバイル契約者は、楽天市場での購買頻度や楽天カード、楽天銀行、楽天証券の利用率が非契約者に比べて有意に高く、顧客生涯価値(LTV)を最大化するエンジンとして機能しています。