大手スーパーの精米売り場に並ぶ白米5kgが3,000円から3,800円前後で推移するなか、農家直送の玄米30kgは、送料込みでも13,000円〜16,000円前後(品種や等級による)で取引されています。1kgあたりの単価に換算すると、スーパーの白米が600円〜760円/kgであるのに対し、直送玄米は430円〜530円/kg程度です。この歴然とした価格差を目にして、「安かろう悪かろうではないか」「古米や規格外米が混ざっているのではないか」と勘繰る声も聞かれます。しかし、農家直送における玄米30kg 安い理由は、品質の妥協ではなく、純粋な流通構造の合理化にあります。
第一の理由は、中間流通マージンの完全な排除です。一般的な米の流通ルートでは、生産農家から集荷業者(JA等)、卸売業者、精米工場、パッケージ工場、配送センター、そして小売店舗と、幾重もの事業者を介します。各段階で発生する人件費、保管料、利益率が積み重なることで、店頭価格は生産者の買取価格の約1.8倍から2.2倍にまで膨らみます。農家直送はこの中間プロセスをすべて飛び越し、生産現場から消費者の玄関まで直結させるため、生産者は通常出荷より高い手取りを確保しつつ、消費者は卸売価格に近い水準で購入できる「売り手よし・買い手よし」の図式が成り立つのです。
第二の理由は、精米コスト・歩留まり損失・包装費の削減にあります。玄米を白米にする精米工程では、米ぬか部分が削られることで重量が約10%減少(歩留まり90%)します。精米業者はこの「目減り分」と精米機械の減価償却費、電力コストをあらかじめ白米価格に転嫁しています。さらに、陳列用の美麗なフルカラー5kg用ポリ袋や窒素充填パックの資材費、それを詰める小分け作業費も米価を押し上げる要因です。一方、玄米30kgの出荷形態は、収穫・乾燥・籾摺り後にそのまま使われる「無地の30kgクラフト紙袋」1枚のみ。加工と資材にかかる余計なコストが一切上乗せされていません。
そして、価格以上に消費者を驚かせるのがその圧倒的な食味です。市場で流通する一般的な低価格米には、複数の産地や年産、品種を混ぜ合わせた「複数原料米(ブレンド米)」が多く見られます。対して、信頼できる農家から届く直送米は、混じり気のない単一原料米 1等米 評判通りの逸品が基本です。農家の低温倉庫(15℃以下、湿度70%前後)で徹底管理された玄米は呼吸が最小限に抑えられ、収穫時の新米の鮮度とデンプンの糖化が封じ込められています。スーパーの陳列棚で常温放置され、精米後数週間が経過した白米とは、炊き上がりの香り、粒立ち、甘みの深さにおいて決定的な差が生まれます。