従来の「アルカリ縮毛矯正」一強だった業界図式に大きな変革をもたらしているのが、弱酸性の薬剤を用いる「酸性ストレート」の普及です。くせ毛やうねりの改善を美容院で求める読者にとって、現在はこの選択肢を理解しておくことが欠かせません。
酸性ストレートと縮毛矯正の違いは、薬剤のpH(ペーハー)領域にあります。健康な毛髪の等電点であるpH4.5〜5.5に近い弱酸性領域で作用する還元剤(スピエラやGMTなど)を用いることで、毛髪の表面にあるキューティクルを過度に膨潤させずに内部へと浸透させます。これにより、従来のアルカリ縮毛矯正では施術が断られていたエイジング毛(加齢による細毛やパサつき)や、ブリーチ履歴のあるデリケートな髪に対してもアプローチが可能になりました。
ただし、酸性ストレートは万能の魔法ではありません。キューティクルを開かずに薬剤を浸透させる分、毛髪内部の水分コントロールやアイロンの熱の入れ方に極めて高度な技術が要求されます。現場の技術力にばらつきがあり、熱が甘ければ「くせが伸びない」、熱が過剰であれば「深刻な炭化ダメージを招く」という表裏一体のリスクを抱えています。信頼できる技術者のもとで、自毛の強度に見合った薬剤選定を行ってもらうことが成功の条件です。