臨床データによると、全身麻酔や脊椎麻酔(下半身麻酔)を受けた患者の約30%から50%に術後シバリングが発生すると報告されています。手術を終えて病室に戻った直後、意識が戻りつつある中で「体がガタガタ震えて止まらない」「歯がカチカチ鳴って苦しい」と訴える患者は少なくありません。
術後シバリングが起きる主因は、麻酔薬による中枢性体温調節機能の麻痺と、手術室の室温環境、消毒薬の揮発熱、輸液や開腹・開胸操作に伴う熱放散です。麻酔薬が切れて体温調節中枢が正常動作を取り戻した際、低下した深部体温を元の37℃近傍へ急速に戻そうとして猛烈な筋肉運動がトリガーされます。
術後シバリングは単なる不快感にとどまらず、心拍数や血圧の急上昇を招き、酸素消費量を通常の2倍〜4倍に激増させます。心疾患を抱える患者や体力の落ちた高齢者にとっては心筋虚血や創部痛の増悪につながるため、周術期管理における重要な看護・治療対象と位置付けられています。