扉を開けた瞬間、湿り気を帯びた温かい空気とともに、圧倒的なスケール感が目に飛び込んでくる。深さ1.1メートル。日本の一般的な温泉とは明らかに一線を画すその深さは、立って入浴することを前提に設計されたものだ。浴槽の周囲を囲むのは、精巧な彫刻が施された柱やステンドグラス。光が差し込むと、水面がエメラルドグリーンに揺らめく。まるで古代ローマの公衆浴場に迷い込んだかのような錯覚。これこそが、千人風呂と呼ばれる所以だ。
一度に100人が入っても余裕があると言われる広さは、単なる誇張ではない。泳ぐことは禁止されているが、ゆったりと歩き回りながら湯の浮力を楽しむ時間は、日常の慌ただしさを一瞬で忘れさせてくれる。