2000年代初頭のホストカルチャーを象徴するのが、独特すぎるビジュアルスタイルです。雑誌『MEN'S KNUCKLE(メンズナックル)』の創刊とともに爆発的な流行となったのが、髪の毛の束を細かく固めて放射状に立ち上げる「スジ盛り」や「ライオンヘア」でした。
スプレーを1本丸ごと使い切るほどのハードセットで頭部を巨大化させ、襟足を長く伸ばしたウルフカットがカリスマの証とされていました。これに合わせる服装は、極端に細身のシルエットに尖ったロングノーズの革靴、光沢のある原色スーツや豹柄の裏地、ハイブランドの巨大なバックルベルトという出で立ちです。
当時の現場を知るセットサロン関係者によると、「夕方の歌舞伎町のヘアセット専門店は、スジ盛りを求めるホストたちで戦場のような忙しさだった」といいます。男性的な野性味と過剰な自己主張が同居したこの美学は、女性客にとって「日常では決して出会えない異形の王子様」としての強烈な記号性を放っていました。