沙倉ゆうののキャリアを語る上で欠かせない金字塔が、2017年に公開された映画『真白の恋』(坂本欣弘監督)です。富山県射水市を舞台に、軽度の知的障がいを持つ主人公・渋川真白が東京から訪れたカメラマンに淡い恋心を抱く姿を描いたこの作品で、沙倉は初主演を務めました。
飾り気のない瞳の動き、言葉を選びながら紡ぎ出す声のトーン、感情の機微を捉えたナチュラルな演技は、観客だけでなく日本映画界の選考委員たちに強烈なインパクトを与えました。その結果、第32回高崎映画祭にて最優秀新進女優賞を獲得。ミニシアター系映画の枠を超え、ロングランヒットを記録する原動力となりました。
その後も『クオリア』『みぽりん』など、エッジの効いたインディペンデント映画や商業劇映画に多数出演。さらに舞台分野では、古典劇から現代劇まで幅広い戯曲に対応できる確かな身体性と発声力を武器に、観客を魅了し続けています。限定的に発表された写真集やアートワークグラビアでは、スクリーンで見せる素朴さとは対照的な凛とした美しさと陰影を披露し、表現者としての多面性を実証しました。