ハードウェアの急速な進化も、自撮り棒を過去の遺物へと押し流した大きな要因です。そもそも初期のセルカ棒が爆発的に普及した最大の理由は、「スマートフォンのインカメラの画角が狭く、腕を伸ばしただけでは数人での集合写真や背景が入らなかったから」に他なりません。
しかし、iPhone 11シリーズ以降、多くの端末に超広角レンズが標準搭載されたことで状況は激変しました。0.5倍の広角モードを選択すれば、棒を使わずとも手持ちのまま、自然な腕の長さで3〜4人の友人と広大な背景を1枚のフレームに収めることが可能になったのです。このスマホ広角レンズ代用の普及により、「ただ広く撮りたい」という理由だけでわざわざ手荷物に金属の棒を加える必然性は完全に失われました。
一方で、本格的な映像制作や手ブレのない歩き撮りを求めるユーザー層は、単なる棒ではなくスマホジンバルおすすめモデルへと一斉に移行しました。電動スタビライザーによる滑らかな手ブレ補正や、AIによる自動追尾機能を備えたジンバルが普及したことで、旧来の「ただスマホを挟むだけの原始的なセルカ棒」は、機能面でも完全に陳腐化してしまったのです。