『ショーン・オブ・ザ・デッド』の根底には、ゾンビ映画の父であるジョージ・A・ロメロ監督への狂信的なリスペクトが存在します。タイトルそのものがロメロの名作『ゾンビ(原題:Dawn of the Dead)』の捩りであることは一目瞭然ですが、劇中には映画ファンを歓喜させるオマージュが隙間なく敷き詰められています。
ショーンが母親のバーバラに電話をかける場面でエドが叫ぶ「奴らはお前を捕まえに来るぞ、バーバラ!(We're coming to get you, Barbara!)」というセリフは、1968年の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の伝説的な冒頭シーンをそのまま引用したものです。
さらに映画史に残る名場面として名高いのが、ロックバンド・クイーンの代表曲「Don't Stop Me Now」を使った戦闘シーンです。パブのジュークボックスから突然軽快なビートが流れ出し、曲のリズムに合わせてショーンたちがビリヤードのキューでゾンビの店主を殴打する演出は、狂気とグルーヴ感が融合した映像革命でした。
こうした熱狂的な愛は海を越えてロメロ本人にも届き、ロメロは本作を「近年で最も素晴らしいホラー」と激賞。その縁から、2005年のロメロ監督作『ランド・オブ・ザ・デッド』には、エドガー・ライトとサイモン・ペッグが鎖に繋がれたゾンビ役として逆オマージュのカメオ出演を果たすという奇跡的なコラボレーションへと結実しました。