「浅瀬の海域はすでに飽和状態だ。日本が生き残る道は、水深100メートルを超える深海への浮体進出しかない」——大手電力会社の実証プロジェクトを率いるエンジニアは、強い視線でそう語る。
日本の排他的経済水域(EEZ)は世界第6位の広さを誇るものの、急峻な海底地形が多く、従来のような海底に杭を打ち込む着床式風力発電機では設置できる場所に限界があった。この壁を破ったのが、2026年に実用化が進んだ高靱性コンクリート浮体構造だ。従来の半分の建造コストで設置が可能となり、沖合数キロメートルの海上に整然と並ぶ巨大風車群が、すでに首都圏や関西圏へ大量のクリーン電力を送り届けている。