カーキとは実は緑ではない?オリーブとの違いや歴史の真相を徹底解剖

カーキとは実は緑ではない?オリーブとの違いや歴史の真相を徹底解剖

カーキとは実は緑ではない?オリーブとの違いや歴史の真相を徹底解剖について押さえておきたい 事実を厳選して解説いたします。

「カーキ色とはどんな色か」と問われた際、日本人の多くは迷わずモスグリーンや深緑をイメージします。しかし、英語圏の辞書や国際的なカラーチャートを開くと、カーキ(Khaki)は「砂色」「黄褐色」「くすんだ薄茶色」として分類されています。この認識のズレは、単なる好みの問題ではなく、言葉が誕生した19世紀半ばの歴史的事実に端を発しています。

カーキという単語のルーツは、ヒンディー語およびペルシャ語で「土」「埃」「灰」を意味する「khak(ハーク)」です。これが形容詞化し、「土埃の色」「泥の色」を指す言葉として定着しました。

この色彩を軍服として歴史の表舞台に引き上げたのが、1846年にイギリス領インド帝国で結成された案内隊(Corps of Guides)を率いたハリー・ラムズデン(Harry Lumsden)中尉です。当時、イギリス軍の制服といえば鮮烈な「赤(スカーレット・チュニック)」や純白のズボンが標準でした。しかし、北西辺境州の荒涼とした砂漠地帯において、白や赤の軍服は現地の狙撃兵にとって格好の標的でしかありませんでした。

ラムズデン中尉は自著の記録や当時の軍報告書において「白は戦場で死を招く標的である。現地の泥や砂と同化することこそが生死を分ける」と述べており、部下の兵士たちに白い木綿の軍服を川の泥、桑の樹液、カレー粉、茶の煮汁などで染め上げさせました。これが世界で最初の「カーキ色の軍服」です。砂塵に紛れて敵の目を欺くこのカモフラージュ効果は絶大であり、1880年代の第二次アフガン戦争やボーア戦争を経て、1902年にはイギリス陸軍全体の正式野戦服として採用されました。つまり、カーキの原点は「緑豊かな森林」ではなく「乾燥した砂漠の土煙」にあったのです。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。