プロデューサーとしての卓越した眼力も特筆すべき点だ。デビュー当時の坂本真綾を見出し、その透明感あふれる歌声を唯一無二の楽器として響かせた一連の楽曲群は、いまやエバーグリーンな輝きを放つポップス史の至宝である。
さらに、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』で見せた重厚かつ繊細なシンフォニーは、伝統的な時代劇のフォーマットを鮮やかに更新。戦国乱世を生きる女性の情念と祈りを、ピアノの旋律ひとつで描き切った。アニメーションから実写、そしてクラシックの殿堂まで、彼女の足跡にはいかなるジャンルの境界線も存在しない。