石川瑠華の名を決定づけた作品といえば、児山隆監督が手掛けた『猿楽町で会いましょう』を外すわけにはいかない。嘘と欲望が渦巻く都市の中で、掴みどころのないヒロイン・ユカを演じきった彼女の姿は、多くの映画ファンの心に不可逆の爪痕を残した。痛々しくも美しいあの圧倒的な存在感は、近年の邦画インディーズ史においても特筆すべき輝きを放っている。
さらに、浅野いにおの伝説的コミックを実写化した『うみべの女の子』では、思春期の鬱屈と性の衝動を抱える少女を見事に体現。不器用で、壊れそうで、けれどどこか残酷な10代の情動を描いたこの作品は、従来の青春映画の枠組みを根底から打ち破るものとなった。痛みを隠さずに曝け出す彼女の演技力は、すでにこの時点で映画界の重鎮たちを唸らせていたのだ。