歴史をさかのぼると、羊羹のルーツは古代中国の羊肉スープ(羊湯)にあったというから驚きだ。禅僧によって日本へ伝来した際、肉食を禁じられた僧侶たちが羊肉に見立てて小豆や小麦粉で加工したことが始まりとされる。室町時代から続く室町創業の名店「虎屋」をはじめとする老舗の手によって、現在のような優美な甘味へと昇華された。
安土桃山時代には、茶聖・千利休が催した茶会でも点心として出された記録が残る。利休が重んじた「わび・さび」の精神と、控えめながら力強い小豆の風味は深く結びついていたのだ。伝統和菓子の格式を守りつつ、時代の嗜好に合わせて甘さや硬さを微調整してきた職人たちの工夫こそが、数百年にわたる暖簾を支えている。