ネット上の読者コミュニティ(あにまんch、5ちゃんねる、各種考察ブログなど)において、20年以上にわたって語り継がれているのが、緻密無比な伏線回収シーンの数々です。
特に読者に凄まじい衝撃を与えたのが、「フェイスレス司令の正体」が白金(バイ・ジン)であり、勝の養父・才賀貞義その人であったという事実です。一見無関係に思われた200年前の錬金術師兄弟の因縁、才賀グループの莫大な遺産争い、そして世界規模のゾナハ病蔓延が、たった一人の男の「執着と身勝手な片思い」に起因していたという構図は、連載当時の読者を驚愕させました。
さらに、加藤鳴海が発した名言の数々とその真相も大きな話題を呼びました。記憶を失い、右腕を人形の義肢に変えられ、過酷なしろがねの戦士として覚醒した鳴海は、一時期エレオノールを「フランシーヌ人形の生まれ変わり」と誤認し、激しい憎悪を向けます。しかし、すべての誤解が解け、自らの心の狭量さに気づいたとき、彼は叫びます。
「悪魔にならなきゃ、人を愛せないのかよ!」
「しろがね…お前を抱きしめるために、俺の両腕はあるんだ!」
かつて自分を救うために失われたはずの腕が、今度は愛する者を抱きしめるために再生されていたという構造。そして、最終回における「カーテンコール」の演出は、漫画表現の歴史に残る白眉です。物語の完結後、生者も死者も、人間も自動人形も舞台上に横一列に並び、観客(読者)に向かって礼をする見開きページ。この演出に対し、ネット上では「大号泣した」「まるで一生分の劇を観終わったような充足感」「藤田和日郎という天才の構成力に鳥肌が止まらない」といった熱狂的な書き込みが今なお絶えません。