人間工学および認知心理学の観点から見ると、マウス操作は「視覚でカーソルを追い、目的の位置で止め、指先でボタンを押し分ける」という高度な手眼協調運動を脳に強いています。これは「フィッツの法則(目標物に到達する時間は距離と目標の大きさに依存する)」が示す通り、画面が大型化・高解像度化するほど腕の移動距離とポインティングの疲労度が増加する構造になっています。
一方で、キーボードショートカットは触覚と空間位置の記憶に依存するため、一度習得すれば画面を見つめたまま「無意識」に処理を実行できます。この認知負荷の差こそが、終業時の眼精疲労や肩こり、集中力の持続性に直結しているのです。
ただし、すべての人が無理にすべての操作をキーボード化する必要はありません。習熟度と作業目的に応じた適切な棲み分けが存在します。
ショートカットへの移行を強く推奨する人: データ入力、長文執筆、プログラミング、経理事務など、キーボードに両手を置いている時間が長いユーザー。右手をキーボードからマウスへと行き来させる往復運動(ホーミング時間)を排除するだけで、1日の疲労度が劇的に軽減されます。
マウス操作を中心にしたほうが安全な人: PC操作に強い不安がある完全な初心者や、デザイン・画像レタッチ作業のようにマウスやペンタブレットを常時握っているユーザー。無理にキーボードに手を伸ばすことでかえって作業テンポを崩す恐れがあるため、画面上の右クリック操作を丁寧に行うほうが確実です。