更級日記「源氏の五十余巻」解説!少女が后の位より熱狂した理由とは

更級日記「源氏の五十余巻」解説!少女が后の位より熱狂した理由とは

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この章段で最も鮮烈なインパクトを残すフレーズが「后の位も何にかはせむ」です。平安時代の貴族社会において、女性の人生における最高峰の栄誉とは、天皇の正妻である「后(皇后・中宮)」の座に就くことでした。一族の栄華を左右する絶対的なステータスであり、誰もが羨む地位です。

しかし、13歳の菅原孝標女は「后の位になったとしても、この喜びには遠く及ばない」と言い切ります。文法的には「何にかは+サ変未然形『せ』+推量・反語の助動詞『む』」という強力な反語が使われており、「后の地位などどうして問題にしようか、いや、何でもない(全く比べものにならない)」という意味を持ちます。

彼女がここまで狂喜乱舞した理由は明白です。長年思い焦がれた理想の世界が、誰にも邪魔されない自分の手の中にすべて収まったからです。几帳(部屋の間仕切り)の中に一人引きこもり、昼は一日中読みふけり、夜は灯火のもとで目が覚めるたびにページをめくる生活。現実の出世や世俗的な栄華よりも、虚構の物語世界に没入する至福を選んだ瞬間でした。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

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