これほど明確なCMタイアップでありながら、なぜ多くの人々が「何かの主題歌だった」と記憶違いしてしまうのでしょうか。音楽評論および認知心理学の観点から、3つの主要因が浮かび上がります。
1. 『鋼の錬金術師』OP『メリッサ』をはじめとする強烈なアニソン実績
ポルノグラフィティは後年、2003年に放送された大ヒットTVアニメ『鋼の錬金術師』の初代オープニングテーマとして『メリッサ』を提供。その後も『BLEACH』の『アニマロッサ』や『僕のヒーローアカデミア』の『THE DAY』など、アニメ史に残る名タイアップを次々に手掛けました。バンドの「アニソン親和性の高さ」が後づけで過去のヒット曲に投影された結果といえます。
2. 1曲の中に織り込まれた圧倒的な「起承転結」と物語性
『アゲハ蝶』は、イントロの民族楽器的なフレーズから哀愁を帯びたAメロ、疾走するサビ、そしてラストの転調まで、まるで40分枠のドラマや1クールの冒険ファンタジー作品を見終えたかのような濃密な物語構造を持っています。この圧倒的なドラマ性が、「何か壮大な物語の主題歌だったはずだ」という錯覚を脳内に生み出しています。
3. 記憶のすり替えを生む「カクテルパーティー効果」とメディア露出
2000年代初頭の音楽番組(『ミュージックステーション』『うたばん』『COUNT DOWN TV』など)では、シングル発売と同時にタイアップ映像やダイナミックな演出が連日放送されていました。当時の視聴体験が「ドラマやアニメの劇中クライマックス」と脳内で結合され、時間の経過とともに主題歌記憶へと再構成されたと考えられます。