競馬ファンが最も注目する「競走馬の調教メニュー」には、目的ごとに明確な役割分担が存在します。代表的な調教コースが「坂路調教とウッドチップコース」です。
坂路(はんろ)は勾配のある直線コースを駆け上がるため、馬の関節や腱への負担を抑えつつ、推進力を生み出す後肢(トモ)の筋肉と心肺機能を効率的に強化できます。栗東坂路の改修完了以降、美浦・栗東ともに高低差を活かした負荷の強い坂路調教が定着しました。対してウッドチップコース(CWやWコース)は、広大な周回コースを長めの距離から走らせることで、スタミナの養成やコーナーリングの巧拙、折り合いの確認に適しています。
調教の強度を表す用語として頻出するのが「追い切りと本追い切りの違い」です。一般的な「追い切り」はレースに向けて強めの負荷をかける調教全般を指しますが、競馬サークルで使われる「本追い切り」は、レースの1週前や当該週の水曜日・木曜日に行われる勝負仕上げの最終確認を指します。馬なり(馬の自発的な走りに任せる)、強め(ラストで気合をつける)、一杯(限界まで追って負荷をかける)という脚色の指示によって、馬の仕上がり状態をピークへと導きます。