第四脳室という極小の水門が何らかの要因で塞がれた瞬間、中枢神経系は破綻の危機に直面します。これが第四脳室閉塞と水頭症(非交通性・閉塞性水頭症)の発症プロセスです。上流の側脳室や第三脳室では絶え間なく髄液が生成され続けるため、出口を失った髄液は行き場を失って脳室内に充満し、内側から大脳を圧迫し始めます。
臨床現場で問題視される第四脳室拡大の理由には、大きく分けてふたつの病態があります。ひとつは、マジャンディ孔やルシュカ孔自体の器質的癒着(髄膜炎後やクモ膜下出血後など)や腫瘍による出口の閉塞です。もうひとつは、上流の中脳水道と下流の出口双方が遮断されて第四脳室が孤立してしまう「孤立性第四脳室(Isolated Fourth Ventricle)」と呼ばれる難治性の病態です。
閉塞が急速に進行した場合、頭蓋内圧亢進症状が猛烈な勢いで現れます。逃げ場を失った圧力は、後頭蓋窩から小脳扁桃を大後頭孔へと押し出す「大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)」を誘発します。延髄にある呼吸中枢や血管運動中枢が直接圧迫されれば、短時間で呼吸停止や心停止に至るため、一刻を争う外科的ドレナージやバイパス手術が必須となります。