「タダより高いものはない」という言葉がある通り、一般に流通価格が5キロあたり3,000円前後に達する主食をなぜ無償で手放す人がいるのでしょうか。農家関係者へのヒアリングや掲示板出品者の傾向を分析すると、お米無料譲渡の理由には明確な3つのパターンが存在することがわかります。
第1の理由は、「自家消費しきれない保有米の品質劣化前処分」です。地方の実家や親戚から30キロ単位の玄米袋が定期的に送られてくるものの、核家族化や炭水化物摂取量の減少により、食べ切る前に次の収穫期を迎えてしまう一般家庭が都市部を中心に増加しています。「捨てるのはバチが当たるが、知人に配るのも気後れする」という心理から、地域掲示板で近隣住民へ無償譲渡するケースが多数を占めます。
第2の理由は、「兼業農家における古米・規格外米の倉庫整理」です。新米の収穫期を前に、保管スペースを空ける目的で前年以前の古米(あるいは保有米の余剰分)を一掃したい生産者が、精米費用や運賃をかけずに「引き取りに来てくれるならタダで渡す」という条件を設定します。
しかし、注意を要するのが第3の理由である「何らかの接触・集客を目的とした隠れトラップ」です。無料の米を餌にして個人情報を収集したり、宗教・マルチ商法への勧誘、あるいは単身女性を狙ったアプローチの口実に使われたりする事案が、警察相談や消費者生活センターの窓口で確認されています。「親切な善意」と「悪意ある誘導」の境界を見極める視点が欠かせません。