霞の呼吸の真骨頂であり、時透無一郎の天才性を象徴するのが独自開発の「漆ノ型・朧」です。それまで上位の鬼狩りを手玉に取ってきた上弦の伍・玉壺に対し、無一郎はこの技一本で完全な心理的・戦術的優位を奪い取りました。
「朧」の恐ろしい点は、単純な移動速度の速さだけではありません。あえて相手の視界に入る際はゆっくりと姿を見せ、次の瞬間には音もなくトップスピードで死角へ回り込むという「極限の緩急差」にあります。さらに無一郎は、自身の体の線や刀の軌道を隠すため、あえて丈の長いダボついた隊服を着用しています。
玉壺の視点からは「そこにいるはずの敵が急に霧のように消え、気づいたときには首元に刃が届いている」という恐怖の現象として映り、手も足も出ないまま頸を切り落とされる結果となりました。柱の歴史を見ても、独自の型を編み出したのは水柱・冨岡義勇の「拾壱ノ型・凪」などごく一部であり、無一郎の才能が規格外であることを証明しています。