2026年現在の誤嚥性肺炎診療・看護ガイドラインにおいて強く強調されているのは、「絶食の弊害を回避し、早期から安全な経口摂取とサルコペニア対策を両立させる」というパラダイムシフトです。かつてのように「肺炎を起こしたから即座に長期絶食」とする管理は、嚥下筋群の急速な萎縮を招き、二度と口から食べられなくなる廃用を生むリスクとして厳しく戒められています。
病棟ナースが主導すべきベッドサイドスクリーニングとして、以下の3つのテストが標準化されています。
- 反復唾液嚥下テスト(RSST):30秒間に何回唾液を嚥下できるかを評価。3回未満は嚥下障害を強く疑う。
- 改訂水飲みテスト(MWST):冷水3mlを口腔底に注ぎ、嚥下運動、むせ、呼吸切迫、湿性嗄声をスコア化(評価3点以下は要精査)。
- フードテスト(FT):プリンやゼリー4gを摂取させ、口腔内残留や嚥下の遅延を直接確認する。
これらのスクリーニング結果を基に、言語聴覚士(ST)による嚥下内視鏡検査(VE)や嚥下造影検査(VF)への迅速な橋渡しを行います。さらに、歯科衛生士による専門的口腔ケア、管理栄養士による高エネルギー・高蛋白かつ適切なテクスチャーの食形態調整、理学療法士による離床と呼吸筋トレーニングを束ねるコーディネーター役こそが、病棟看護師に求められる現代の姿です。