封筒の表面・裏面の記入作法は、差出人の教養と丁寧さを測るバロメーターです。どんなに中身の文章が秀逸であっても、外装の宛名書きマナーが疎かであれば心証を損ねます。
宛名書きの黄金比率と敬称の使い分け
長形3号などの和封筒では、筆記具は黒の油性ボールペン、または宛名書き用の水性顔料ゲルインク(0.7mm程度が視認性に優れ推奨)を用い、縦書きで記述するのが原則です。
- 住所:封筒の右側3分の1のスペースに収めます。都道府県から省略せずに記載し、ビル名や階数も明記します。数字は「一、二、三」の漢数字を用います。
- 会社名・部署名:住所より一段下げた位置から書き始めます。(株)などと省略せず「株式会社」と正式表記します。
- 宛名(氏名):封筒の中央、天地左右に十分な余白を取り、最も大きな文字で堂々と書きます。敬称は、個人宛なら「様」、部署や組織宛なら「御中」を用います。「〇〇株式会社 御中 〇〇様」と併用するのは誤用であり、「〇〇株式会社 営業部 〇〇様」とするのが正しい作法です。
封緘印「〆」の書き方と接着剤の選択
書類を入れ終えた後、開封口をしっかりと封じます。この際、セロハンテープでの仮止めや、水分で紙が波打つ水糊(液状糊)の使用は厳禁です。経年劣化で剥がれにくく、シワにならない両面テープまたはスティック糊を使用してください。
糊付けしたフタの中央には、封緘印(ふうかんいん)として「〆」を書き入れます。これは「間違いなく封を閉じました」「途中で他人が開封していません」という秘密厳守の証明です。カタカナの「メ」や、バツ印の「×」を雑に書く人がいますが、これは重大なマナー違反です。草書の「締」の略字である「〆」を丁寧に一筆で書き込みましょう。なお、より格式を重んじる慶事や改まった手紙では「封」、重要機密文書では「緘」が用いられます。