岡山市中区円山に位置する曹源寺の山門をくぐると、作務(清掃や農作業などの労働)に励む青い瞳の雲水(修行僧)や、堂内で整然と坐禅を組む多国籍な僧侶たちの姿を目にします。日本の伝統的な禅寺でありながら、なぜこれほどまでに多くの外国人修行僧が集まるのでしょうか。その理由は主に3つの決定的要因に集約されます。
第一の理由は、曹源寺の住職であり師家(指導者)を務める原田正道老師の存在です。原田老師は国内外で広く禅の教えを説き、流暢な英語で仏教の本質や公案の指導を行える稀有な禅僧です。言葉の壁を取り払い、人種や国籍、宗教的バックグラウンドに一切とらわれず、「真理を求める者」を等しく受け入れる懐の深さが、欧米をはじめとする海外の求道者たちから絶大な信頼を集めています。
第二の理由は、「本物の伝統的修行生活」がそのまま維持されている点です。曹源寺では、早朝の起床から坐禅、読経、作務、托鉢に至るまで、江戸時代から続く臨済宗の厳しい修行規律が妥協なく実践されています。欧米の知識層の間では、単なるリラクゼーションとしてのマインドフルネスにとどまらず、自己の根源的な実存を問う「本格的な禅(Zen)」への関心が高まっており、その本質を体得できる場として曹源寺が選ばれています。
第三の理由は、長年にわたり築かれた国際的なコミュニティネットワークです。曹源寺で厳しい修行期間(数か月から数年)を終えて母国へ帰国した修行僧たちが、各地で禅センターを開設したり、後進に曹源寺の指導を推薦したりすることで、世界規模の信頼の環が世代を超えて広がっています。