緊迫した病棟や救急外来で、手順書を見直す余裕はありません。現場の医療従事者が確実に順序を暗記し、ミスなく遂行するための「覚え方・ゴロ合わせ」が広く受け継がれています。
真空管採血の代表的ゴロ合わせ
真空管直接採血の順序である「培養 → 凝固 → 生化学 → ヘパリン → EDTA → 血糖」を覚える代表的なフレーズがこちらです。
「培(ばい)養 凝(ぎょう)視、生(せい)の ヘ(へ)ビ え(ED)え ふ(F)らふら」
・培:血液培養ボトル
・凝:凝固検査(クエン酸)
・生:生化学・血清分離剤
・ヘ:ヘパリン採血管
・え:EDTA(血算)
・ふ:NaF(フッ化ナトリウム・血糖)
あるいは、シンプルに「けっ(血培)・ぎょう(凝固)・せい(生化学)・へ(ヘパリン)・い(EDTA)・ふ(フッ化ナトリウム)」とリズミカルに唱える現場も多く存在します。
採血管の転倒混和回数と正しい動作
採血管をホルダーから外した直後、もう一つの重大なミスが「不適切な混和」です。採血管内部の添加剤は、血液と均一に混ざり合って初めて効果を発揮します。混和不足は微小凝集を招き、逆に乱暴な振盪は溶血を引き起こします。
日本臨床検査標準協議会の指針で推奨されている転倒混和回数は以下の通りです。
・凝固検査用(クエン酸):3〜5回(穏やかに反転)
・生化学検査用(血清分離剤):5回程度
・ヘパリン採血管:8〜10回
・EDTA採血管(血算):8〜10回(均一混和が必須)
・血糖検査用(NaF):8〜10回
混和の動作は、手首を180度ゆっくりと反転させ、気泡が採血管の端から端へ移動するのを確認しながら行うのが鉄則です。カクテルシェーカーのように激しく振る行為は赤血球を物理的に破壊し、カリウムやLDHの異常高値を招く最大の原因となります。