通夜や告別式の現場、あるいは受付での対面において、言葉の選び方を誤るケースは数多く目撃されています。都内の大手斎場に勤務する葬祭ディレクターへの取材証言によると、特に受付時や遺族控室での挨拶において、以下の3つの誤用が顕著に発生しています。
- 失敗例1:受付で「私の御母堂が…」と口走ってしまう
喪主側の親族が受付で参列者に対し「私の御母堂の葬儀にお越しいただき…」と挨拶してしまう事例。前述の通り身内に尊称を使う誤用であり、参列者側が恥ずかしさを感じる事態に陥ります。遺族側は「母の葬儀」「亡き母のために」と言うのが正解です。 - 失敗例2:口頭での「御母堂」の多用による過剰な硬さ
「御母堂」は本来、書き言葉(文章語)としての性格が強い言葉です。通夜の席で遺族に対し「御母堂の思い出は…」と繰り返すと、かえって慇懃無礼で距離感のある印象を与えかねません。対面での会話では「お母様」と言い換える方が、温かみと自然な敬意が伝わります。 - 失敗例3:忌み言葉・重ね言葉との併用
「御母堂様が重ね重ね(ますます、再び)…」「急死されて…」といった、不幸の連続を連想させる言葉や直接的すぎる表現は厳禁です。「ご急逝」「突然の悲報」といった婉曲表現を選びます。
対面での挨拶においては、「このたびは、お母様のご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます」と、簡潔かつ低めの落ち着いた声トーンで伝えることが、何よりの礼儀となります。