店頭から瞬く間に製品が消え去った背景には、複合的な要因が絡み合っています。最大の要因は、国内で消費されるマスクの約7割から8割を中国などの海外生産に依存していたサプライチェーンの脆弱性です。現地の工場停止や輸出制限が直撃したことで、日本国内への輸入量が一夜にして激減しました。
さらに製造現場を直撃したのが、フィルター性能の核となるメルトブロー不織布の原料不足です。世界的な需要急増によって極細繊維を生み出す特殊ポリプロピレン原料の争奪戦が勃発し、原材料価格が一時数十倍に跳ね上がりました。国内に製造設備を持つメーカーであっても、肝心の原料シートが入手できず、フル稼働できない期間が生じていたのが実情です。
そこへ消費者の防衛心理によるまとめ買いや、転売目的の買い占めが重なり、平時の数倍に膨れ上がった需要に対して供給が完全に追いつかないパニック状態が生み出されました。