私たちが日常で「いいことの後には必ず悪いことが起きるのではないか」と身構えてしまう心理は、大衆文化のヒット作にも如実に投影されています。その象徴となったのが、2025年秋クールに大きな反響を呼んだ日本テレビ系土曜ドラマ『良いこと悪いこと』でした。間宮祥太朗と新木優子がW主演を務め、共演に森本慎太郎、深川麻衣、剛力彩芽らが名を連ねた本作は、小学校の同窓会で掘り起こされたタイムカプセルから「6人の顔が塗りつぶされた卒業アルバム」が発見されたことを契機に、かつての同級生たちが不審死を遂げていく戦慄のノンストップ・ミステリーです。
劇中では、童謡の替え歌の歌詞になぞらえて「ニコちゃん」や「ターボー」といったかつての仲間が標的となり、過去の罪と現在の報復が絡み合う様が描かれました。Jun Futamataが手掛けたメインテーマ「アゲハ蝶」の哀愁漂う旋律とともに、大手レビューサイトFilmarksなどでは「誰しも抱える過去の後悔と、いつか訪れるかもしれない罰への恐怖が重なる」「幸せな日常が一瞬で崩壊する描写がリアルすぎる」といった視聴者の声が数多く寄せられています。大人になって社会的な成功を手に入れた瞬間に過去の闇が襲いかかるという展開は、まさに人間が本能的に抱く「いいこと悪いことの代償心理」を的確に突いたものでした。
私たちは無意識のうちに、「ツキすぎていると後が怖い」「幸福には必ず代償が伴う」という不可解な恐怖心(チェロフォビア/幸福恐怖症)を抱えがちです。ドラマが提示したサスペンスは、フィクションの枠を超えて、視聴者自身の「幸不幸のサイクル」に対する潜在的な不安を浮き彫りにしたといえます。