プロ歌手が明かす喉を痛めず歌声が劇的変化するビブラート習得術

プロ歌手が明かす喉を痛めず歌声が劇的変化するビブラート習得術

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日本の音楽史を振り返れば、美空ひばりが残した圧倒的なこぶしと繊細な余韻の震えは、時代を超えて聴き手の心を掴んで離さない。彼女の歌声は単なるピッチの波形ではなく、日本人の情感そのものを揺さぶる魔力を持っていた。時代が下り、1990年代末にセンセーションを巻き起こした宇多田ヒカルは、従来の演歌的なうねりとは一線を画す、繊細でスピード感のあるR&BマナーのビブラートをJ-POPのメインストリームに根付かせた。

そして熱狂は現代へと引き継がれる。世界的な社会現象となった劇場版『鬼滅の刃』無限列車編の主題歌をはじめ、心を抉るドラマチックなボーカルワークにおいて、ビブラートは劇中の悲哀や覚悟を増幅させる決定打として機能している。クラシックのオペラがホールの最後列まで響かせるために発展させた端正な周期のヴィブラートから、現代劇伴の激情を伝えるエモーショナルな揺らぎに至るまで、時代ごとの表現技法は常に変化を遂げている。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。