二人の代名詞とも言えるのが、しっとりとした和室を舞台にした「芸者コント」だ。白塗りメイクに艶やかな着物を纏い、一見すると本格的な古典芸能の佇まいを見せる。だが、一度セリフが交わされると空気は一変する。静寂の中に響くくだらないやりとり、絶妙な目線の泳ぎ、そして無言のまま互いの顔を見つめ合う長すぎる溜め。観客はその独特な緊張感に飲まれ、次の瞬間に弾ける笑いに耐えきれなくなる。
この芸者コントの凄みは、単なるふざけ合いではない点にある。柄本明が所属する劇団東京乾電池で培ったアバンギャルドな演劇的アプローチと、志村けんがドリフターズ時代から洗練させてきたベタな喜劇の構造が、狂気的なまでの精度で噛み合っているのだ。台本があるようでない、ないようである。その境目を漂う二人だけの空間は、視聴者に最高の贅沢を感じさせた。