多くの生徒が「自分の根性が足りないから寝てしまうのか」と自責の念を抱きますが、その認識は生理学的に正しくありません。午前中は耐えられても、午後の授業開始直後から激しい睡魔が襲ってくる現象には、人体の代謝システムと生体時計に起因する授業中に眠くなる決定的な理由が存在します。
最大の主因は、昼食後の急激な眠気血糖値スパイクです。昼休みに白米、丼もの、菓子パン、麺類といった高GI(グリセミック・インデックス)な炭水化物を急いでかき込むと、血液中に大量のブドウ糖が一気に流れ込みます。急上昇した血糖値を下げるため、膵臓から大量のインスリンが分泌され、今度は血糖値が急降下する「反応性低血糖」に陥ります。脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の供給が一時的に枯渇するため、脳は機能を守るために強制的なシャットダウン、すなわち抗えない眠気を引き起こします。
さらに見落とされがちなのが、密閉された教室環境における二酸化炭素(CO2)濃度の上昇です。学校環境衛生基準ではCO2濃度1,500ppm以下が望ましいとされていますが、夏冬にエアコンを稼働させて窓を閉め切った教室では、40人近くの生徒の呼吸により2,000〜3,000ppm超まで容易に跳ね上がります。高濃度のCO2環境は、健康な人間であっても集中力の著しい減退と強い傾眠傾向を機械的に引き起こすことが学術的実験で実証されています。