「お前平田だろ」の真相|藤波辰爾が暴いた覆面の掟と昭和プロレス史

「お前平田だろ」の真相|藤波辰爾が暴いた覆面の掟と昭和プロレス史

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事件が起きたのは、1985年5月17日に開催された新日本プロレス「IWGP&WWFチャンピオン・シリーズ」第8戦・熊本市体育館大会です。当時、将軍KYワカマツ率いるヒールユニット「マシン軍団」の中で内紛が勃発し、エース格だったストロング・マシン1号が仲間割れを起こして孤立。新たな覆面「スーパー・ストロング・マシン」としてベビーフェイス(善玉)へ転向しようとしていた過渡期でした。

自身の試合を終えた藤波辰巳の前に、若松軍団に裏切られたスーパー・ストロング・マシンがリングへ乱入。対峙した両者の間で激しい舌戦が繰り広げられるはずの場面で、藤波がマイクを握りしめて放ったのがあのセリフでした。

「お前、平田だろ! マスクを脱げ! 男なら素顔で正々堂々と勝負しろ!」

藤波が伝えたかった本来のメッセージは、「過去のギミック(覆面)を捨てて、素顔のレスラーとして自分と勝負しよう」という熱い呼びかけでした。しかし、リング上の極限の興奮とアドリブが交錯した結果、頭に浮かんだ本名がそのままマイクに乗って館内スピーカーから大音量で響き渡ってしまったのです。マスクマンの正体を暴くことはプロレス界における最大の禁忌(タブー)。リングサイドの記者陣も観客も一瞬言葉を失い、次の瞬間に異様な笑いと熱気に包まれました。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。