武庫川の清流を望む兵庫県宝塚市。この街の歴史は、阪急電鉄の創業者・小林一三の先見の明とともに始まった。1914年、温泉地の集客策として産声をあげた少女歌劇は、やがて日本を代表する宝塚歌劇団へと成長を遂げ、唯一無二の舞台芸術へと昇華した。
阪急宝塚駅から劇場へと続く「花のみち」は、季節ごとの草花が咲き乱れる美しいアプローチだ。春には桜のトンネルが観客を迎え、冬には凛とした空気の中に劇場のクラシックな輪郭が浮かび上がる。駅を降りた瞬間から物語が始まっているかのような街づくりの哲学は、1世紀以上にわたって鉄道と劇場が共生してきた歴史の賜物にほかならない。