2000年代半ば、日本の純愛映画ブームは一つの頂点を迎えていた。その渦中で公開された新城毅彦監督作品『ただ、君を愛してる』は、市川拓司の小説を原作に、写真というモチーフを通じて描かれた切なくも美しいラブストーリーだった。
劇中で玉木宏が演じたのは、人間嫌いで自分に自信が持てない大学生・瀬川誠人。一方、加藤ローサが演じた富島みゆきは、キャンパス内で眩い光を放つヒロインのライバル的でありながら、誠人が密かに憧れを抱く等身大の女性だった。主演の宮﨑あおいを含めた三角関係の空気感は、当時の若者のリアルな葛藤を見事に切り取っていた。
特に加藤が見せた瑞々しい演技と、玉木が醸し出すどこか影のある優しさは、物語に奥行きを与えた。スクリーンに映し出される一コマ一コマがまるでアート写真のように美しく、公開から20年が経過した今見返しても、その映像美と演技の質感は圧倒的だ。