作品を語る上で避けて通れないのが、原作者・臼井儀人先生の突然の訃報です。2009年9月、群馬県と長野県の境に位置する荒船山へ登山に出かけた臼井先生は、崖からの転落事故により51歳の若さで帰らぬ人となりました。日本中が深い悲しみに包まれる中、ファンの間では「原作漫画は未完のまま絶筆になってしまうのか」「最後に何が描かれたのか」という動揺が広がりました。
双葉社の編集部には、臼井先生が生前に遺していた貴重なストック原稿が保管されていました。そして2010年2月発売の『月刊まんがタウン』2010年3月号において、臼井儀人遺稿最終話となる第1125話が掲載されました。ファンが固唾をのんで見守った原作漫画最終回ネタバレの全貌は、悲壮感など微塵もない、あまりにもいつも通りの野原家の姿でした。
遺稿となった最終エピソードで描かれたのは、朝寝坊した野原家の大騒動です。みさえが朝食の準備に追われ、しんのすけとシロが朝の散歩へ出かける準備をし、父親のひろしが会社へと急ぐ――どこにでもある、けれどかけがえのない野原家の微笑ましい朝のワンシーンで物語は幕を下ろしました。クレヨンしんちゃん最終話詳細まとめとして記録されているのは、絶望的な別れではなく、先生が20年近く描き続けた「くだらなくて愛おしい日常」の尊さそのものだったのです。