ネット上の情報や一部のレシピサイトでは、「チョコレートに市販のピーナッツバターやナッツを混ぜればジャンドゥーヤになる」といった簡易的な説明が見受けられますが、これは製菓科学の観点からは明らかな誤解です。
ジャンドゥーヤの製造工程において最も重要なのは、ナッツ粒子を20ミクロン以下まで微細化する「リファイン(微粒化)」と「コンチング(精練)」のプロセスです。家庭用プロセッサーでナッツを粉砕しただけでは粒子が粗く、舌の上でざらつき(砂状感)が残ってしまいます。
また、温度管理(テンパリング)の難易度も一般の板チョコレートより遥かに高くなります。ヘーゼルナッツの液状油がカカオバターの結晶化(V型結晶の形成)を阻害するため、保管温度が22℃を超えると油分が表面に浮き出るファットブルーム現象が極めて起きやすくなります。「夏場に放置するとドロドロに溶けて分離してしまう」というのは、本物のヘーゼルナッツ高含有ジャンドゥーヤならではの物理的宿命です。