佐村河内守と新垣隆の出会いは、1990年代半ばにまで遡る。その関係性を決定づけたのが、株式会社カプコンが手がけた大ヒットゲーム『鬼武者』の劇伴音楽制作だった。オーケストラを大胆に導入した重厚なサウンドトラックはゲーム業界内外で絶賛を浴び、佐村河内の名を一躍有名にした。しかし、その華々しいオーケストレーションを実際にスコアへ落とし込んでいたのは新垣隆だった。
騒動後、二人の人生はあまりにも対照的な軌道を描いた。告発者となった新垣隆は、持ち前の卓越したピアノ技術と飾らない人柄でバラエティ番組や音楽番組に引っ張りだことなり、現代音楽の旗手としても確固たる地位を再構築した。一方で、プロデューサー的な立ち回りで名声を独占しようとした佐村河内は、すべての社会的信用を失い、社会から完全に孤立することとなった。