借りてきた猫の由来とは?急におとなしくなる心理とネズミ捕りの歴史

借りてきた猫の由来とは?急におとなしくなる心理とネズミ捕りの歴史

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「借りてきた猫(かりてきたねこ)」の意味は、普段は活発で賑やかな人が、慣れない環境や初対面の場に置かれた途端、急におとなしくかしこまって静かになる様子を指します。単に性格が静かであることではなく、「普段の活発さとのギャップ」が存在する点が大きな特徴です。

では、なぜ猫なのか。そのルーツは江戸時代の庶民生活にまで遡ります。当時、農家における米蔵の穀物被害や、養蚕農家における蚕の食害、さらには商家における商品の損害など、ネズミによる食害は生活を脅かす深刻な問題でした。そこで重宝されたのが、ネズミの天敵である猫です。

当時、猫は非常に貴重な益獣として扱われており、誰もが飼育できるわけではありませんでした。そのため、ネズミ被害に悩む家が猫を飼っている家から一時的に猫を借りてくる「ネズミ捕りのための猫レンタル」という慣習が定着したのです。歌舞伎の演目や当時の随筆にも、猫の貸し借りに関する描写が散見されます。

しかし、猫は極めて強い縄張り(テリトリー)意識を持つ動物です。見知らぬ家へ連れて行かれた猫は、ネズミを元気に追いかけるどころか、不慣れな匂いと見知らぬ人間に怯え、部屋の隅や家具の隙間に逃げ込んで丸くなり、息を潜めてじっと動かなくなってしまいます。普段の家では堂々と走り回っている猫が、他人の家では別猫のように小さくなる――このリアルな生態観察から「借りてきた猫」という言葉が生まれました。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。